ねえ、もしも(前編)

 

!注意!

ふたりとも病んでるよ。

流血表現あり。ちと生々しい?


・・・せんぱい、あたしもうしんでもいいわ。

付きあい出して1年記念の今日、ぽつりとフェーリが言った。

 

 

 

 

 

 

ねえ、もしも(前編)

 

 

 

 

 

 

僕が立っているのは、薄暗い浴室。

その浴室に、彼女はいた。

右手に剃刀を持ち。

唇は半開きで。

目はうつろに濁り。

 

 

「ああ、ああ・・・・・・」

 

 

あたたかな血が、タイルに流れ出ていた。

彼女の左手首から流れだした血は、

やがて排水溝へと辿り着き、

その中へと消えていくのだった。

恐ろしいほど綺麗で。

恐ろしいほど悲しくて。

恐ろしいほど泣きたくて。

呆然と立ちつくしていると、ラフィーナが飛んできた。

 

 

「きゃあっ、何ですの!?フェーリさん!しっかり!!」

 

 

ラフィーナがすぐに止血に取りかかるが、血は止まらなかった。

騒ぎを聞きつけたアミティたちも飛んできて、フェーリは病院に搬送された・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

+++++++++++

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「せんぱい」

「なんだい?」

「すきよ。あいしてるわ」

「僕だってきみのこと好きだよ」

「せんぱい」

「フェーリ」

「あたしといて、しあわせ?」

「もちろん」

「あたしでよかった?」

「もちろん」

「いっしょうあいしてくれる?」

「きみが望むのなら、永久に」

「うふふ」

「どうしたの」

「どうもしないわ。そうね、せんぱいがそういうならほんとうよ」

「おかしなフェーリ」

「あたし、しあわせなの」

「僕だって」

「いっしょうはなさないで」

「フェーリもね」

「せんぱいをはなしたくないわ」

「うん、だから僕もつなぎ止めていて」

「うふふふふ」

「愛してるよ、僕だけのフェーリ」

「あいしてるわ。あたしのレムレス」

 

 

 

 

 

 

 

――こういう話を知ってるかい。

人というものはね、死んでもまた転生できるんだ。

『輪廻転生』ってやつだね。

興味はない?

そんなこと言わずに聞いておくれよ。

輪廻転生を願ってもその通りにはならなかったりするんだ。

『生まれ変わってあなたともういちど会いたい』というのはね、

大きなバクチ打ちなんだよ。

でも成功すれば永久に一緒にいられる。

成功例は皆無に近いけどね・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後編へつづく。